ちょっと使い方を変えるだけで新しい価値が生まれるものは実は意外とたくさんあるのかもしれない

と、考えさせられた本。

内沼晋太郎さんという、「ブック・コーディネーター」さんの著書です。

以前の朝日新聞の「be」でのインタビュー記事を見て、おもしろそうだったのでAmazonさんにて即ポチ。朝日新聞のbe、けっこうお世話になってますw

まず本の材質が面白い

この本がAmazonさんから届き、袋の包装を開けた瞬間にすでに僕は感動しました。

「何、この材質と見た目…!!」

これですよ、これ。

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緑。

表紙も中身もアンケート用紙でさえも、すべて緑。

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これはヤラれた。こんな本が本屋さんの本棚に並んでたら絶対に手に取るしTwitterなんかで拡散したくなる。上手いなーーー。というかなんで僕は本屋でこんなにおもしろい本を見かけなかったんだろうか?最近、行ってなかったかな…?

とにかく見た目からインパクトがすごい本。

本の中身もおもしろい

もちろんおもしろかったからこうしてエントリーを書いているんですけども、本屋の常識を覆すような発想がいろいろあって読みながらすごく刺激を受けました。

中でも特に響いた考え方はこんな事。

本を読まない人は本が嫌いなのではなく、”本というものの面白さ”に気付いていないだけ

内沼さんのお仕事は簡単に言うと、「本と人との偶然の出会いを作る」ことだそう。

例えば。

・その本の中のワンフレーズやその本の書き出しだけを抜粋してブックカバーに印刷して、そのワンフレーズの印象のみで本を選んで貰う。

・本を入れて封をしたクラフト袋に、スタンプでその本の初版発行の年だけが押された印をして販売する。

・その本をオススメする人の顔写真だけで本を選ぶ。

みたいな企画を実施されてきて、いずれも大変盛り上がったそうな。

こんなおもしろそうな企画、本で読んでるだけでもウキウキするじゃないですか…!

「本=作家名やタイトル、あらすじを見て選ぶもの」という考え方で今まで本を選んでいた僕にとって、このようなホントの出会いは考えた事もありませんでした。

でも考えてみると確かに本の面白さってあたりまえですが、作家名やタイトルではなくその本の中身だったりするんですよね。

「本っておもしろいんだ!」と、まず思って貰うにはどうすれば良いのか?っていう視点、大事ですね。

書店と本屋の違い

書店はあらゆる本を棚に並べてできるだけ広いスペースに分かりやすく置いた空間のことで、本屋は「本」を媒介として人とのコミュニケーションを求めるもの。

本書にて紹介されていた、鳥取の定有堂書店の店主、奈良さんという方の言葉だそうです。まさにコレですなぁ。

 

「オススメの本ありますか?」って書店の店員さんに聞かない僕らも悪いのかもしれないけど、本好きの僕なんかとしてはおもしろい本があったらいろいろ紹介して欲しいなーと、よく思いますもんね。

実際、本好きな友人には「最近なんかオススメない?」なんてたまに聞いたりします。そうすると全然知らなかった本を紹介してもらえたりして、さらにその本がめちゃくちゃおもしろかった際にはその友達にすごく感謝で、お礼にご飯をご馳走そうしたりなんてこともありましたw

 

内沼さんは、「書店は減って行くだろうけど、”本屋”は減るどころかむしろ増えて行くだろう」とおっしゃっていますがまさにその流れは来ると思いますね。

 

ちなみにこの定有堂書店さん、本棚に細かく、”その本のオススメポイントを一言で紹介”みたいなPOPというかテープが張られていて、タイトルや作家さんを知らずともその本の内容をざっくり知る事が出来る陳列になっているそうな。

店内の雰囲気写真、この方↓のブログに掲載されていましたのでちょっとご紹介させていただきます。

「定有堂書店@鳥取市」は本屋さんの聖地だそうである。 | 倉吉ブログ*2はてなブックマーク - 「定有堂書店@鳥取市」は本屋さんの聖地だそうである。 | 倉吉ブログ*2

今やヴィレバンを筆頭に様々な所で見かけるようになった一言POPの元祖なのではないでしょうか?

 

こうゆう、”短文で核心をいかに分かりやすくかつ正確に伝えるか”っていう考え方は、体に関する仕事でもすごく参考になりますね。体の用語って専門用語多くて分かりにくいですからね…(´Д`;)

本棚はブランディングの道具になる

”友達の家に遊びにって部屋の本棚を見ると、その友達の頭の中を覗き見ているような感覚”ってありますよね。逆を言うと、「本棚はあまり見られたくない!」という人も多いはず。

これって、本棚に並んでいる本を見ればその人自身の嗜好が分かるからだそうです。

 

うん。言われてみてばなるほど、その通りかも。

本棚の本って、その人の個性がかなり出ますよね。

ヘアサロンや病院の待合室の雑誌なんかを見ていると、すごく思います。

 

本棚ブランディングはどんな業種でも、意外とすぐに取り組めそう。かつ、けっこうなイメージ効果がありそうな気がしますね。

これからの新刊書店はかけ算型

ヴィレッジヴァンガードのコンセプトが「本屋×雑貨」であるように、内沼さんが経営されている下北沢の本屋「B&B」のコンセプトは、本屋×イベント×ビール×家具だそうです。

B&Bという店名は「BOOK&BEER」の略で、「ビールを飲みながら本を物色できる本屋があったら最高だ」という自分の欲望から生まれたそう。

 

まさに最高ですやん、これ。

 

「ビールを飲めばイベント出演者も饒舌になり、来乗客同士のコミュニケーションも円滑になり、本もついたくさん買いたくなってしまう」、という相乗効果はまさに狙い通りだったとのこと。

さらにはB&Bさんで使用している本棚はアンティークショップからの委託販売品だそうで、本棚までも購入できてしまうそうです。

一切無駄がないこのシステム、すごい。

 

これからは確かに内沼さんがおっしゃるように、テーマを絞った新刊書店が増えてきそうな気がします。

 

仮にもし僕が今、本屋をオープンするとしたら…やりたいのは正に、「リラクゼーション&ボディケア本屋」かなー。

マッサージを受けながら、受け終わった際には「なんでそこが凝っているのか?」を理解できるように、体に関する簡単な参考書を紹介しつつクライアントさんの体の状態についてご説明。

さらにはストレッチやヨガの本に掲載されているポーズを実際に本の通りにやってみながら、どこまで伸ばしたら効果的なのか?どの部分が伸びていると良いのか?を解説しながら試してみる。

とかね。

いろんな方のお話を聞くと、例えばストレッチでも、どこまで伸ばせば効いてるのか?ってあまり分からないみたいなんですね。何も運動の経験がないと。

なのでそんな方の為に実践を踏まえた本の紹介が出来たら面白いですなあ。

プラスで体の状態や気持ちに合うアロマの紹介とかね。

 

考えてみたら、なんか出来そうな気がしてきた。

これいつかやりたいなぁ。

【〜著書外より】本を”売る人”が本屋なのであれば、ブログで書評を書く人も本屋である

これ、個人的にはすごく盲点を付かれた感じでズシンと響いた言葉なのですが…実はこの「本の逆襲」には出て来ていない表現でした。

どこで見たんだ、俺…(/Д`)w

で、ネットで検索してみたら、内沼さんが本の逆襲の出版イベントに出演された際にこんなニュアンスの事をおっしゃっていたらしい、という記事を発見。

鷹野凌さんというフリーライターさんがブログで書かれていました。

内沼晋太郎さん×仲俣暁生さん×小林浩さんのトークイベント「逆襲する本のために」へ行ってきた #本の逆襲 : 見て歩く者 by 鷹野凌はてなブックマーク - 内沼晋太郎さん×仲俣暁生さん×小林浩さんのトークイベント「逆襲する本のために」へ行ってきた #本の逆襲 : 見て歩く者 by 鷹野凌

「読み聞かせをする人も本屋だし、ブログで書評をする人も本屋」

いやー考えてみると、これ、確かにその通りですよね。

僕もブログでおもしろかった本についてちょこっと書いたりしていますが(まだまだそこから本を購入いただいた方は多くないですが)、こうやってブログである人の本を紹介して、それがきっかけで他の方にその本を手に取ってもらえる機会が生まれるとすると、ブログで本の書評を書いている人はもはや「本屋さん」ですもんね。本のアフィリエイトのみで生活している方なんかも、ネットの世界では何人もいらっしゃいます。

 

僕自身も最近では本を探すのは本屋よりもネットが中心になってきていますが、今回の内沼さんの本と出会ったきっかけは朝日新聞の特集記事だったように、人と本との出会いの形はまだまだ進化の余地がありそうですね。

ちなみに内沼晋太郎さんてどんな人?

うちぬまsなn

内沼晋太郎(うちぬま しんたろう、1980年6月20日 – )は、日本のブック・コーディネイター、クリエイティブ・ディレクター。

海城中学校・高等学校を経て一橋大学商学部商学科卒。某国際見本市主催会社にて出版関連のイベントを担当後、独立。2003年、本と人との出会いを提供するブックユニットブックピックオーケストラを設立。2006年末まで代表をつとめる一方、「本とアイデアのレーベル」としてnumabooksを設立。ブック・コーディネイターとして「TOKYO HIPSTERS CLUB」(株式会社ワールド)、「TOKYO CULTUART by BEAMS」(株式会社ビームス)などのセレクトショップで販売する書籍のセレクトを中心として、書店のプロデュースやコンサルティングなど、本を媒介とした空間ブランディングをメインに様々な業界で活躍。また、ウェブディレクター、編集・ライター、DJとしても活動し、展覧会も多数企画・出展している。2013年より、これからの執筆・編集・出版に携わる人のためのウェブサイトDOTPLACE(株式会社ボイジャー)の編集人として活動している。

from Wikipedia

学生時代に本気でミュージシャンになろうとして、自分の曲とプロの曲との差に唖然としてミュージシャンを諦めたり、雑誌を出版しようとしていた最中に編集データがふっとび、1冊も雑誌を出版することなく編集者を諦めたりと、ご経歴だけを見ても大変おもしろい方でした。

 

そして最後に。上にご紹介した鷹野さんも書かれていましたが、この「本の逆襲」の最後の一ページに書かれていた文章が、まさに僕ら「本好き人間」の気持ちを代弁してくれているかのような内容で爽快。

 「本の逆襲」という本書のタイトルは、ベストセラーとなった「誰が「本」を殺すのか」や「電子書籍の衝撃」といった、ネガティブな言葉で煽りを効かせたタイトルへのアンチテーゼでもあります。大家を前にして恐れ多いですが、こうした本が人々から「本屋」であろうとすることを遠ざけた罪は、わりと重いのではないでしょうか。売上が下がるのを業界や読者のせいにして、できるはずの努力や工夫を何もせずに、飲み屋で「出版業界は斜陽産業だ」などとつぶやいてきた大人たちも同罪です。暗いのはあなたの未来だけです。どうか本の未来まで巻き込まないでください。

本は素晴らしいよ!

参考

B&B

内沼さんプロデュースのビールが飲める本屋さん。一度行ってみたいなー

B&BB&Bはてなブックマーク - B&B

 

 

 

BIBLIOPHILIC

内沼さんとディスクユニオンのコラボで生まれた「本のある生活を楽しむ」がコンセプトのブランド。
BibliophilicBibliophilicはてなブックマーク - Bibliophilic
 

 

 

本を読んでブログに書評を書いている人なんかには、このノートかなり便利かも。

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元・もみほぐし屋の中のヒト