クリストファー・ノーラン監督作品「インセプション」のラストシーンは何も考えずにありのままを受け入れたいものですね

アラサー男子の日常

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今更ながら、クリストファー・ノーラン監督作品「インセプション」を見ました。公開は数年前の作品のため、あらすじやストーリー解説は省きますぜ。こちらのwikiページを見てくださいね。

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ラストシーンについて感じたこと

インセプションを見た人であれば、一番に語りたい部分にいきなり入りますよ。いいですか。

それはインセプション体験者の中では必ず議論に上がるであろう、「ラストシーンをどう見たか?」につきまして。

コマ

コブのトーテムであるあのコマは、そのまま回り続けたのか?または止まって倒れたのか?

 

何事よりも先に結論を知りたいあなたには▶こちらをご紹介いたしますが、ノーラン監督ご自身としては、こういった狙いをこのシーンに込めたみたいですね。

そして僕個人的には、このラストシーンは「夢とも現実ともどちらとも取ることができるマルチエンディング」という受け取り方もアリなのではないかなと感じました。どちらでも正解だし、どちらでも正解ではない。夢か夢ではないかは、あなた自身が決めること。

「この映画のラストシーンが夢なのか?現実なのか?そんな事はどちらでもイイのさ。なぜなら、コブは心の底から会いたかった2人についに再会できたのだからね」

もしもこんな風にこの映画を解説してくださる方がいたら、たぶん惚れますね。

 

…と、ここで少し本題とは反れてのひとりごとなのですが、このレビューを書いていてふと、”自分も少しは大人になったものだなぁ…”と思いました。

なぜなら。もし以前までの自分であれば、この作品インセプションのようにラストの真偽がはっきりと描かれることのない作品はモヤモヤの塊でしかなく、視聴後にはネットの情報を片っ端から辿りつつ自分の中で最もしっくりくる解説を探していたのだろうなと思うためです。(実際、インセプションのラストシーン検証に関するまとめやブログ記事はかなり多くありますね。)それがアラサーともなった今では、どちらの可能性も敢えてそのまま残したままにてラストシーンを消化できている。

「あぁ、映画ってこんな楽しみ方もあったんだなぁ」

と、ひとり感じた次第です。笑

三半規管を揺さぶられるような映像美

まさに、睡眠時に頭のなかに投影された夢の世界での現象をそのまま画面内に見ているような、脅威の映像の連続でした。

現実世界でびしょ濡れになれば夢の中では部屋の中が水浸しになったり、トイレに行きたい状態で夢に入れば、その世界では雨が降っていたり…僕らが実際に眠る時に視る夢と現実の環境も、まさにそんな感じでリンクしていますもんね。笑

特に息を呑むシーンはやはり、上の世界が無重力に状態になっている際のビル内でのあのシーン。「いったいどうやって撮影しているんだろう…」と思いネットにてちょこっと調べてみた所、ビル内のあのシーンはこんな感じで撮影されたみたいです。

『インセプション』無重力シーンは本当に無重力?監督の驚きのこだわりが明らかに!メイキング映像公開 - シネマトゥデイ

 

360度回転する廊下を再現したセットの中に、出演者をワイヤーで吊り下げての撮影。なるほど。

Youtubeのメイキング動画を見ると更に分かりやすいかも。

僕は先にインターステラーを見てからのインセプション鑑賞であったため、インターステラーに繋がるような印象の異次元空間の表現が多くありましたなぁ。神秘的な世界観でした。

「時間」の表現を通して伝えられる、映画全体のメッセージ

僕も御多分にもれずにもれずノーラン監督作品にはことごとく感動させられている類の人間ですが、インセプションを通して僕が感じたメッセージもやはり、”時間”でしたね。

現実世界の一瞬の体感時間が1段階目の夢の中では数十分に、さらに奥の2段階目では体感時間は数時間に、そしてさらに奥ではその体感時間は数十年となる。

映画「インターステラー」でも相対性理論をテーマにした時間の残酷さに何度も涙させられましたが、インセプションではまた違った形での時間の大切さが表現されていた印象でした。僕なりにではありますが、言葉にするならばそれは、「人は、”同じ長さの時間”を”同じ長さだけ”等しく生きるからこそ、そこには大切な意味がある」ということなのかなと。

想像したままの世界を形作ることができる、夢の中のさらに奥の夢の世界にて、コブと共に50年も浸ってしまったために、自分の意識の中での夢と現実を逆転させてしまったコブの妻、モル。モルは映画内では「夢に夢をみて、現実に戻ることができなくなった悲劇のヒロイン」として描かれていますが、こういう人って実は、実際の現実世界においても少なくないのかもしれないな…と思ってしまいました。

例えば、ふかふかの布団でゆっくりと眠ることは気持ちが良いけれども、一日中・一ヶ月中・一年中ずーっと眠っていても、何も生まれないですものね。まぁ、当然なんですけどね。映画を見終えた後には、ノーラン監督に、「自分のやりたいことばかりが出来ると思うなよ?もっと現実をしっかり見ろ」と言われているような気がしました。

現実とは日々、「思い通りにいかない事を如何にしてうまくいくようにしていくか?」の連続なんでしょうね。きっと。

 

もしあなたが頭をフル回転させたい映画をお探しでしたら、「インセプション」ぜひオススメです。

インセプションを見たらもう一度インターステラーが見たくなったので、はよDVD発売していただきたいなぁ。

「ラストシーンに考えさせられる作品」と言えば僕が真っ先に浮かぶのは「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」でした。よかったら見てみてね。